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2007秋
新製品発表会レポート

@marantz恵比寿ショールーム

marantz編

去る8月23日(木)に東京都渋谷区の恵比寿駅近くにあるマランツのショールームにて9月以降リリースされるB&Wとマランツの製品を一同に集めた新製品発表会が行われました。そこで発表された製品をレポートします。

B&W編
今回の発表会におけるB&Wの主役はブランド誕生40周年のアニバーサリーモデルの"SignatureDiamond"です。昨年のインターナショナルオーディオショウでサンプルが公開されたものの具体的なリリースの案内がないまま半年以上が経過してしまいましたが、この度正式に価格、受注開始時期も発表となりました。また、今回は既に公開されていた"White"に加えて、もう一色の"WAKAME"も公開されました。文字通りやや緑がかった色に塗装された木目がワカメに似ていることからエンジニアがワカメと名付けたそうです。

音響的な設計をB&WのシニアエンジニアであるDr.ジョン・ディブが担当。彼は今年でB&Wに在籍して20年となります。この間、彼はB&Wの主要製品の音響デザインを担当し、25周年、30周年を記念するSilverSignature、Signature30も彼の手によるものです。

ジョン・ディブ博士と共にこのSignatureDiamondを創り出したのが英国のインダストリアルデザイナーの重鎮、ケネス・グランジ卿です。彼は1976年にDM6をデザインして以来数多くのスピーカーをB&Wの為にデザインしてきました。先述のSilverSignature、Signature30に加え、"Nautilus"もグランジ卿がデザインしたものです。N800シリーズ以降の製品はモートン・ウォーレンによるデザインですが、40周年記念モデルを製作するにあたって再びこの2人によるコラボレーションが実現しました。

SignatureDiamondのコンセプトは最高の2ウェイスピーカー。スタジオモニターとしては800Dを始めとする800シリーズがありますが、コンパクトで家庭内での使用に適し、アニバーサリーモデルを名乗るに相応しい意匠を纏ったスピーカーと言えるでしょう。

トゥイーターのハウジングは天然大理石から削り出されており高級感に溢れています。見た目だけではなく重量があってとても硬い大理石は音響的にも優れた素材であり、トランジェントの良い再生音が得られるとのこと。ホワイトにはイタリア産、ワカメにはベルギー産の大理石が用いられています。ユニット自体は現行の800シリーズと同一のものであり、ダイアフラムは25mmのダイアモンドドームです。

ウーファーはこのモデルの為に新開発。180mmのウォーブンケブラーコーンウーファーです。クロームメッキされた真鍮製のフェイズプラグを備えます。コーンの振幅によりボイスコイルとポールピースの間で発生するエアーノイズが大幅に低減されています。クロスオーバーネットワークは最近のB&Wのモデルと同様にトゥイーターにコンデンサー1個、ウーファーにコイル1個という非常にシンプルな構成となっています。もちろん使用される素子はジョン・ディブ博士による音質検討の結果選ばれたものです。このようなシンプルなネットワークが使用できるのもユニットの特性が非常に優れたものであるという証明と言えます。

円筒形のエンクロージャーは多層のラミネート合板を曲げて造られています。円筒形であるため回析による悪影響がなく、エンクロージャーの剛性も高くなります。さらに内部はマトリクス構造で補強されています。ホワイトにのみ天面にこれも曲面のアルミが使用されています。ワカメの天面は木目が見える仕上げであり、厳密には僅かに音のキャラクターが異なるということです。平面のバッフルを持たず、曲面のみで構成されるスピーカーというアイデアはグランジ卿が長年温めていたもの。見た目の美しさだけでなく、曲面で構成されることで回析が減り、エンクロージャーの強度が上がるという音響的にも優れたデザインです。

バスレフポートは正面下部の開口部に下向きに配置。形状はディンプル付きのフローポートです。端子やケーブルがゴチャゴチャすることを嫌いスピーカーターミナルは底面に備えられています。

短時間の試聴でしたが、オリジナルノーチラスを彷彿とさせる(あるいは比肩する)完璧な空間表現が印象的でした。ただ音楽を聴くことだけに没頭できる、スピーカーの一つの理想形と言えるかもしれません。必要確かにこれ以上の2ウェイスピーカーは思いつきませんね。800Dや801Dと競合するスピーカーではありませんからスペースと予算が許せば両方所有したいところですね。

気になる価格は\2,730,000/pairです。全世界で各色500pairの限定生産ですので高額なスピーカーではありますが驚くほど高いパフォーマンスに使い易いサイズ、そしてミニマルかつレトロモダンな雰囲気を持ったデザインと非常に魅力的な製品ですから意外に早く完売してしまうかもしれません。9月より受注を開始。先着順での納品となりますので早く入手したい方はお急ぎ下さい。実際に製品をご覧になりたい方は10月のインターナショナルオーディオショウに行かれるとよいでしょう。


その他、685、686のブックシェルフ2モデルが先行して発売されていたew600シリーズのフロア型がお目見え。"683"は600シリーズでは初となるFST(Fixed Suspension Transducer)ミッドレンジユニット搭載の3ウェイ4スピーカー・バスレフ型。"684"は珍しい2つの黄色いケブラーコーンウーファー備えた2.5ウェイ3スピーカー・バスレフ型です。価格はやや下がりますが、パフォーマンスは703、704に匹敵すると言います。CM7とはデザインのテイストも異なるので選ぶ楽しみが増えそうです。